VPPの事業化に向けた取り組み

令和6年度新エネ大賞 分散型新エネルギー先進モデル部門で、新エネルギー財団会長賞を受賞
1. 背景
当社では、中期経営計画において、カーボンニュートラルの推進に向けた取組みの一環として、電気の低・脱炭素化に注力していく方針を掲げ再生可能エネルギーの普及拡大を進めています。一方、電気は常に需要と発電を一致させる需給バランスの必要性があり、従来需要の変動にあわせ火力発電所等の供給側が発電量を制御してきたのに対し、再生可能エネルギーは天候の影響を受け発電量を制御できないという課題があります。こうした背景から、従来の供給側の取組みに加え、需要側での制御を行うことへの期待が高まっています。
2. 取り組み概要
昨今、電気を貯めて放電できる蓄電池等を利用するお客さまが増えつつあります。これらのお客さまが所有する機器に対しIoT技術を用いて遠隔・統合制御し、ひとつの発電所のように制御する仕組みをバーチャルパワープラント(VPP)と言い、アグリゲーターと呼ばれる機器を制御する司令塔となる事業者が電気の需給バランスを行います。

具体的には、電力需要のピーク時に蓄電池やEVを放電させ需要を抑制することや、逆に供給量が多く需要が不足するときに蓄電池やEVを充電させ需要量を創出する等、制御する機器の特徴や状態を踏まえ最適な制御を行うことで需給バランスを行うものです。需要側の制御はデマンドレスポンス(DR)と言います。
当社では2019年度からVPPの事業化に向けた検討を開始しており、家庭用・業務用のお客さまの機器を活用したVPPを構築し、当社がアグリゲーターとなり需給の状況にあわせたDRを行うことで電気の需給バランスに貢献しています。

3. 今後の展開
今後家庭用分野を中心に、蓄電池、EVなどが普及拡大していくことが予想されています。これにあわせ家庭用機器を電気の需給バランスに活用するためのルール作りが進んでおり、家庭用分野を対象としたVPPのビジネス環境が整いつつあります。
当社もこの動きに遅れることなく家庭用の蓄電池を対象としたVPPを構築し、実証・サービス提供を行っています。今後は、制御機器をEV等に拡大しVPPによる電気の需給バランスへの効果を強め、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献していく計画です。