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次世代エネルギーシステム

高密度蓄熱技術による熱マネジメント高度化

1. 開発のねらい

当社では、未利用排熱などの有効利用を目指し、独自開発の蓄熱材の実用化を推進しています。(国際特許を含め30件以上の関連特許を取得済です。)
熱の時間差・空間差利用による省エネ・省CO2に留まらず、食品などの保温・輸送など、多彩な温度・用途に活用できます。

2. 潜熱蓄熱材の概要

当社が開発している蓄熱材は、潜熱蓄熱材(Phase Change Material)と呼ばれる材料です。潜熱蓄熱材は、加熱によって固体から液体へと変化する際に熱を蓄え、液体から固体へと変化する際に熱を放出します。潜熱蓄熱材は、融解・凝固というシンプルな現象を利用しているため、蓄熱装置は簡便な構成で安定的に動作します。

潜熱蓄熱材の動作原理
図1 潜熱蓄熱材の動作原理

3. 当社蓄熱材の特長

(1)従来品の2倍以上の高い蓄熱密度

温度差10℃(利用可能温度80~90℃)で温水の約10倍の蓄熱量を達成しました。パラフィンを主成分とした既存の潜熱蓄熱材と比べて、2倍以上の蓄熱量を有しており、貯湯槽などの大幅な小型化や蓄熱容量の向上が可能です。

蓄熱量の比較
図2 蓄熱量の比較

(2)極めて高い安全性

食品添加物等の材料から構成され、かつ不燃性であるため、極めて安全性が高く、取り扱いが容易です。

当社蓄熱材の安全性
図3 当社蓄熱材の安全性

(3)幅広い温度帯をカバー

当社は、新規蓄熱材の開発を進める過程で、膨大な候補材料の評価試験データベースを構築するとともに、蓄熱材の高密度な蓄熱性能を維持したまま、蓄放熱温度帯などの諸物性をチューニングする手法も確立しました。そのため、お客さまの用途に合わせ、蓄放熱温度を40~110℃の幅広い温度帯に調整可能です。適用温度帯の拡大にも取り組んでいます。

当社蓄熱材の適用温度帯と想定用途
図4 当社蓄熱材の適用温度帯と想定用途

(4)一定の温度を保持

原理上、相変化(液体⇔固体)に伴い蓄放熱している間は温度を一定に保つことができ、急激な温度変化の抑制や目標温度帯への保持に活用することができます。

4. 蓄熱材封入技術の開発

ガスエンジンコージェネ排熱の高密度蓄熱技術においては、常温⇔95℃の温度変化に対し、4000回(10年相当)の繰り返し使用に耐える蓄熱材と封入技術を確立しました。

5. 当社蓄熱材の適用例

開発した蓄熱材を充填した蓄熱槽の実運用を通じた性能把握およびシステム改善検討を目的に、当社技術研究所の実稼働設備としての導入を完了しました。他にもキャンプ・防災用品、食品保温で実用化事例があり、現在も給湯・冷暖房、車載用途、産業用途、農業など多彩な用途での活用を目指し、更なる適用範囲拡大開発に取り組んでいます。

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キャンプ・防災用品
食品保温

蓄熱槽での導入事例
図5 蓄熱槽での導入事例
キャンプ・防災用品で実用化事例(2022年10月販売開始)
図6 キャンプ・防災用品で実用化事例(2022年10月販売開始)
給食保温容器での実用化事例(2021年8月販売開始)
図7 給食保温容器での実用化事例(2021年8月販売開始)