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ソリューション技術

アンケート設計・分析技術

技術研究所では、生活提案研究として、日常生活の中で利用する住宅設備機器に関するアンケートを多く手掛けており、
その結果をお客さまに発信してきました。その経験を活かし、お客さま向けアンケートの設計と分析支援に取り組んでいます。

1. アンケート分析でできること

一般にアンケートでは、単純集計やクロス集計を行い、選択肢ごとの分布や割合の多寡を比較し、特徴を把握したり、関係性を可視化したりします。多くは、ここで分析が終了しますが、実は、回帰分析や因子分析などの多変量解析を行うと、インパクト評価やポジショニング評価、結果の要約などができ、本質を突いたシンプルな結論を導き出すことができます。

アンケート分析の目的
アンケート分析の目的
多変量解析手法
多変量解析手法

アンケート結果を基に打ち手を検討し、対策後に再度アンケートを実施すると、対応策の効果測定ができます。アンケートを定期的に実施し、このサイクルを回せば、お客さまの変化を時系列で捉えることができます。

アンケート実施のメリット
アンケート実施のメリット

2. アンケートの活用先

アンケートは手軽に情報収集できる手段なので、次のような目的で活用しています。

3. サービス体系とサービスフロー

サービスをスマートかつ効率的に提供するため、WEBアンケートシステムを採用し、ペーパーレスでデータ収集を行っています。
また、アンケートは、調査票の設計が結果を左右する重要なフェーズなので、これまでの経験を活かし、アンケート設計から支援し、収集データの特性に合わせデータ解析を行い、お客さまに有益な情報を報告しています。
また、2022年度より全国の一般消費者を対象としたアンケートが実施できる環境を整え、サービスの提供範囲を拡大しました。市場反応を確認したいときや自社のお客さま以外の人にアンケートを実施したいときなどにも活用できます。

サービス体系
サービス体系
サービスフロー
サービスフロー

4. 分析事例

(1)満足度を上げるための強化ポイントが絞り込める

利用者の満足度に及ぼす影響を数値化することで、満足度向上に向けて改善すべき課題の優先順位を決めることができます。
この分析事例では、様々な観点での自社施設の満足度を5段階で評価してもらい、その値を重回帰分析にかけ、得られた標準偏回帰係数を用いて、施設の全体満足度に与える影響度を数値化しました。
自社施設利用者の満足度は、職員態度の良し悪しと施設内の清潔感で決まることがわかりました。職員態度は、Xエリアの評価がずば抜けてよいことがわかります。つまり、ZエリアやYエリアは、Xエリアの接客方法を取り入れると満足度が向上し、底上げを図ることができると考えられました。

施設満足度に影響を与える要因とその影響度
施設満足度に影響を与える要因とその影響度
職員態度の評価
職員態度の評価

(2)同じ尺度で施設ごとの特徴がわかる

同系列の施設や競合施設で同時に同じアンケートを行うことで、利用者からみた施設ごとの印象や特徴の違いが明らかになります。
この分析事例では、SD法という形容詞対を用いたアンケート調査を行い、そのデータに対し、主成分分析を行い、第1主成分と第2主成分の主成分得点を施設ごとにプロットしました。競合施設ABCは、待ち時間が短くなっていますが、自社施設は待ち時間が長く、費用対効果も低いイメージを持たれてしまっていました。
どの競合施設に対しても、自社施設は劣後していることになるので、改善策を検討するにあたっては、競合施設との差異を洗い出し、改善ポイントを明確にする必要があることがわかりました。

費用対効果と待ち時間ポジショニング
費用対効果と待ち時間ポジショニング

(3)将来のリスクはどこにあり、対策の足掛かりがわかる

同じアンケートを定期的に実施したり、異なる対象に実施したりすると、収益悪化や継続利用意向の低下などのリスク評価が比較対象間でできるようになります。
この分析事例では、様々なアンケート項目をロジスティック回帰分析にかけ、出力されたオッズ比を用いて、自社施設利用意向の低下リスクを数値化しました。
自社施設利用意向の低下リスクを世代間、競合施設利用有無、性別で比較すると、自社施設利用者であり競合施設利用者でもある人は、競合施設利用者でない人に比べ、自社施設利用意向の低下リスクが5.3倍も高くなりました。つまり、施設利用意向率を上げるには、競合施設利用者に対し、自社施設が魅力的だと感じてもらえる対策が必要になることがわかりました。

自社施設利用意向の低下リスク
自社施設利用意向の低下リスク
<オッズ比>基準に対しどれだけの倍率で事象が発生するリスクがあるかを示すもの

<注意>(1)~(3)の分析には、それぞれの分析手法に適したデータが得られるように、アンケート設計を行う必要があります。