節電と省エネを両立するガス冷暖房システム「GHP XAIR(エグゼア)Ⅱ」
<受賞履歴>
- 平成28年度 日本エネルギー学会表彰 「進歩賞(技術部門)」
- 第21回 資源循環型ものづくりシンポジウム事例研究発表表彰 (公財)中部科学技術センター会長賞
1. 研究/開発のねらい
当社は、節電と省エネ性を両立するガス冷暖房システムである超高効率ガスエンジンヒートポンプ「GHP XAIR(エグゼア)Ⅱ(以下、本製品)」を、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、アイシン精機株式会社、パナソニック株式会社、ヤンマーエネルギーシステム株式会社と共同で開発しました。2015年10月から順次、本製品の販売を開始しています。
2014年4月より施行された改正省エネ法では、需要家側の電力ピーク対策として、省エネに加えて「節電」が努力義務化され、経済産業大臣から告示された「節電の指針」にはガス冷暖房の活用が明確に位置付けられました。そのため、節電に大きく貢献するガス冷暖房システムであるガスエンジンヒートポンプ(以下、「GHP」)は、今後の普及拡大が大いに期待されています。このような背景のもと、本製品は、さらなる省エネ性向上を図るため、GHPが年間を通じて低負荷領域での運転時間が長いことに着目し、年間運転効率の大幅な改善を図りました。
2. 研究/開発の成果
ガスエンジンの低回転数化などを行うことで、低負荷運転時の効率を平均約40%向上させました。また、熱交換性能およびファンの送風効率を向上させました。これらの結果、本製品は、従来機の同じ冷房能力のもの(45~85kW(16~30馬力))と比べ、年間運転効率が平均約25%向上し、一次エネルギー消費量を年間約20%削減します※1。
- ※1 事務所ビル用途でのガス三社試算。GHP XAIR(エグゼア)Ⅱシリーズ45~85kW(16~30馬力)と、従来機XAIR同等機種との比較。なお、設置条件、運転条件により効果は異なります。
本製品の外観写真
アイシン製品
パナソニック製品
ヤンマー製品
本製品の特長※2
(1)エンジンの低回転数化等により、低負荷運転時の効率を約40%向上
GHPは、年間運転時間のうち、低負荷状態※3での運転の割合が大きい(約75%)ため、低負荷状態における運転効率の向上が年間運転効率の向上につながります。そこで、エンジンの最低回転数を低回転数化し、回転数範囲の拡大を図ること等により、最低出力を平均約15%低減し、低負荷まで連続運転を可能にしたことで、エンジンの作動・停止によるエネルギーロスを低減しました。 低回転数化するには、エンジン振動が他の構造部品に与える影響の増大や、回転ムラによるエンストの発生、圧縮機の回転数も下がることによる圧縮機効率の低下といった課題がありましたが、振動特性の解析による振動の抑制および、エンジンプーリー※4径の拡大によるエンジン回転数に対する圧縮機回転数比の最適化などにより解決しました。 これらにより、エンジンの発停ロス低減を実現した結果、低負荷運転時の効率が平均約40%向上しました。
(2)室外機熱交換器の伝熱面積拡大等により、熱交換性能を向上
冷媒を空気で冷却するための熱交換器のチューブ列数を、従来の2列から3列に増加させたこと、熱交換器の形状を変更したことなどにより、伝熱面積を拡大し、熱交換器の熱交換性能を向上しました。
(3)室外機ファンのプロペラ径の大口径化等により、室外機熱交換器ファンの送風効率を向上
室外機ファンのプロペラ径を大口径化したこと、シュラウド(プロペラの流路ガイド)形状の最適化を図ったことなどにより、室外機ファンの送風効率を向上しました。
(1)(2)(3)の技術開発等により、従来機の同じ冷房能力のものと比較すると、年間運転効率を平均約25%向上、一次エネルギー消費量を年間約20%削減しました。
- ※2 各特長の具体的な技術手法については、各メーカーにより異なります。
- ※3 定格能力に対する負荷率が50%以下の状態を低負荷状態と呼んでいます。
- ※4 円盤状の滑車のような部品で、エンジンプーリーの外周にベルトを掛けて回転させることで、エンジンの動力を圧縮機へ伝える。
-
快適でゆとりある暮らしを実現 ~家庭用機器~
-
都市や産業の持続的な発展に寄与 ~業務用・産業用機器~
- 都市や産業の持続的な発展に寄与 ~業務用・産業用機器~
- SOFC(固体酸化物形燃料電池)
- SOFC(固体酸化物形燃料電池)
- 次世代燃料電池(セラミックリアクター)
- ガスコージェネレーション
- 450kW高効率ガスエンジンコージェネレーションシステム
- コージェネ予防保全システム(AssistPlus)
- 小型ガスコージェネレーションシステム「35kW ジェネライト」
- ガス空調機器・システム
- GHP XAIR(エグゼア)Ⅱ
- ハイブリッド空調システム「スマートマルチ」
- 大容量・高効率GHPチラー
- GHP遠隔監視の高度化
- 停電対応GHP
- 2温水回収ジェネリンク
- 起動時間短縮ナチュラルチラー
- 太陽熱利用ガス空調システム「ソーラークーリング」
- 空調シミュレーションによる快適性評価技術
- 業務用厨房機器・ボイラ
- 「涼厨 連続炊飯機」の開発
- 「涼厨 高効率ガス煮炊き釜」の開発
- 高効率な涼厨®寸胴レンジ(MLO-067C)
- ガス式焼物器の高性能化
- ガス式スチームコンベクション オーブンの高性能化
- 業務用厨房の温熱環境予測技術
- VRによるシミュレーション 結果の可視化
- 蒸気ボイラの高効率化
- 工業用機器術
- シングルエンドラジアントチューブバーナ(SRTN)
- シングルエンドラジアントチューブバーナ(CSRT-S)
- 真空熱処理炉向けシングルエンドラジアントチューブバーナ(VSRT)
- リジェネラジアントチューブバーナ(RSTB)
- サイクロリジェネバーナ(CTR)
- 高ターンダウンラジアントチューブバーナ(WRT)
- パッケージレキュペバーナ(TKR)
- 浸管パッケージバーナ
- 小型間接熱風発生装置(HEX-30)
- ロータリーキルン用バーナ
- 浸漬加熱バーナ
- 工業炉設計支援のための燃焼シミュレーション
- 現場支援のための化学分析技術
-
安全と安心をお届けする都市ガス~供給・生産技術~
- 安全と安心をお届けする都市ガス~供給・生産技術~
- 非開削工法
- STREAM工法(ストリーム工法)
- エコキャット工法
- ワイヤーブレード工法
- パイプスプリッター工法
- パイプインパイプ工法・ウインドウカッター
- ナビゲーター工法・フレックスドリル工法
- 配管技術
- 可変式丸穴タイプガスコンセント
- ポリエチレン管配管システム
- PE-GM II接合材料
- TR(トラジション)クランプ
- フレキシブル配管工法
- スクイズクランプ
- ガス導管の耐震性評価手法
- 修理技術
- プラスライニング工法
- ライブジョイントシール工法
- フェニックス工法
- 継手シーリング修理工法
- マッハブロック
- 検査・監視技術
- 水位遠隔監視システム
- ガバナみはる
- 架管点検装置
- 電気防食設備遠隔監視システム
- 鋼管溶接部超音波検査技術
- 他工事損傷未然検知遠隔監視システム
- 溶接内面検査カメラ
- 供給設備技術
- 高圧マイクロ減圧設備
- 低騒音型ガバナ
- 新型自動ガス遮断装置
- IT活用技術
- パトロール業務支援システム「パトナビシステム」
- 他工事路線パトロールシステム
- 工事中検査報告システム
- 生産技術
- 新型BOG再液化設備「MiReLiS」
- 新型液ガス式熱量調整装置「AtoMS」
- BOG圧縮機樹脂製弁プレートを使用した吸入・吐出弁
- 低温弁シール部の簡易修理治具
- 樹脂弁体を使用した低温手動弁
- 新型空温式LNG気化器
-
未来に向けて、地球にやさしく~環境技術~
-
新たな付加価値の創造に向けて ~新領域開拓~
- 知的財産活動
- 開発担当者インタビュー