2017年度(平成29年度)

救急出動に関するビッグデータを活用した家庭内事故の実態調査とその予防策の提案について

2017年12月27日

東邦ガス株式会社

救急出動に関するビッグデータを活用した家庭内事故の実態調査とその予防策の提案について
~ 住宅内空間別の重症化リスクに基づいた予防策導入により、
2030年時点の年間救急出動件数を約1.1万件抑制できる ~

 東邦ガス株式会社(社長:冨成 義郎、以下「東邦ガス」)は、名古屋市消防局と連携し、21年間(1995年~2015年)の救急出動データ約85万件のビッグデータ分析を行い、家庭内事故の実態と重症化リスクを定量化しました。分析結果と共にその予防策について提案します。

 当社はこれまで、名古屋市消防局から提供を受けた救急出動データを基に浴室やトイレにおける急病事故の実態調査と暖房活用による効果検証の結果から、安全で快適な住空間の提案を行ってきました。今回は、分析対象を浴室とトイレから家庭内全体にまで広げ、家庭内事故の将来推計と住宅内空間別の事故の重症化リスクを定量的に明らかにして、各空間における事故の発生及び重症化を防ぐための予防策を具体的にまとめました。

 特に、高齢人口の増加に伴い、今後も家庭内事故の増加が予想される中、「住宅の高断熱化による住宅内温度バリアフリー化」と「浴室や廊下といった居室ではない住宅空間への手すりの設置」が家庭内事故を減らす有効な予防策となります。これら予防策を意欲的に推進することで、現状のペース(成り行き)に比べて、2030年時点で一般負傷事故は4.8%、急病事故は15.4%の削減が見込まれ、年間救急出動件数においては、約1万1千件の抑制効果があることが分かりました。

 東邦ガスは、今後もより一層、地域の皆さまの安全で快適な暮らしの実現に貢献するため、様々な取り組みを展開してまいります。

今回の調査結果のポイント
1.家庭内事故の将来推計
 名古屋市の家庭内事故は、高齢化の進展と共に、この先2030年まで一定の割合で増加していくと推計されます(図中推計①)。しかしながら、住宅内の温度バリアフリー化や浴室や廊下などへの手すり設置を進めることで、一般負傷事故は4.8%、急病事故は15.4%の抑制効果が見込まれます。これは、年間約1万1千件の救急出動件数の削減につながると予想されます(図中推計②)。

                    <図 名古屋市の家庭内事故数と高齢化率の推移>
2.住宅内空間別の重症化リスク
 生活行動が推測しやすい階段、廊下・通路、浴室、トイレ、台所で発生した事故の年代別重症化リスクの大きさを分析しました。その結果、重症化事故が比較的少ない10代に比べて、一般負傷事故は階段で70代から、廊下・通路、浴室で60代から、急病事故は階段で50代から、廊下・通路で30代から、浴室、トイレ、台所は40代から重症化リスクが有意に高くなりました。一方、10歳未満の子どもは、一般負傷事故は階段で、急病事故は浴室で有意に低くなりました。
                   <表 事故種別・住宅内空間別の年代重症化リスク>

※1:東邦ガスは名古屋市消防局から、救急予防を目的として2000年から傷病者個人が特定できない形でデータ提供を受けています。
※2:本分析結果は、下記の学会にて発表済みのものです。
 ・平成29年度空気調和・衛生工学会大会(9/15)「名古屋市における住宅内急病事故の後ろ向きコホート研究(第1報)浴室急病事故の特性とリスク評価」
 ・第47回熱シンポジウム(11/25-26)「予防救急のための住宅内非居室における重症化リスク評価」
 ・第41回人間-生活環境系シンポジウム(12/9-10)「名古屋市における住宅内台所傷病事故の特性分析」

【用語】
 ・一般負傷事故:骨折などの外傷に関する事故。
 ・急病事故:疾病に関する事故。
 ・非居室:居住室ではない住宅内空間。具体的には、浴室、脱衣室、トイレ、廊下、階段など。
 ・救急予防(予防救急):救急車を呼ばなくてはならないようなケガや病気をしないよう、日頃から注意し、心がける意識や行動のこと。

研究概要
 調  査 名 : 「救急予防に資する名古屋市家庭内事故の実態把握とリスク分析」
 分析時期 : 2016年12月~2017年11月
 分析方法 : 名古屋市消防局救急出動データを用いた多変量解析

以 上

別紙(家庭内事故の実態調査とその予防策の提案)[PDF : 660KB]

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