PROJECT STORY 04

OUTLINE

多彩な人たちとつながって
想いを形にしていくまちづくり。

ガス会社がまちづくり!?当初はそんな驚きの声も聞かれた
スマートタウン「みなとアクルス」の開発プロジェクト。
「人と環境と地域のつながりを育むまち」をコンセプトに掲げ、
2018年9月に、第Ⅰ期開発エリアのまちびらきを行った。
そして今は、新たなフェーズとして、エネルギー供給における
カーボンニュートラルを実現すべく発展を続けている。
新しい出会い、新しい関係、多彩なつながりを創造する
2人のプロジェクトメンバーを通じてアウトラインをなぞってみる。

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PROFILE

石橋 奈保子

コーポレート部門

用地開発推進部 港明開発グループ
※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。

2014年入社

環境学研究科、都市環境学専攻。入社後は業務用営業を担当。営業時代には先輩と「ガス消費機器点検サービス」を立ち上げる。その後、用地開発推進部に異動。旅行が趣味で、毎年夫婦で沖縄の離島へ旅するという。自宅にホームシアターを設置するほどの映画好きでもある。

石橋

青木 亮一

コーポレート部門

用地開発推進部 港明開発グループ(取材当時)

2020年入社

理工学研究科、建築学専攻。一級建築士。愛知県出身だが、大学時代から前職の設計事務所までの数年間を東京で過ごす。夫婦揃って旅行好き。東京出身の妻を中部エリアの観光名所に案内したいそう。海外旅行なら、新婚旅行で訪れた東欧を再訪したいと語る。

青木

始動

  • REPRODUCTION
  • INTERACTION
  • CREATION
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高炭素から低炭素へ。
まちづくりで地域に恩返し。

そもそも、なぜ東邦ガスが都市開発を手がけたのか?それは、みなとアクルスの立地に起因する。名古屋市港区、中川運河沿いにある約33haもの広大な土地は、かつてガスの生産拠点だった。1940年から東邦ガスの主力工場として操業していた港明工場は、1998年にその幕を閉じる。みなとアクルスは、港明工場跡地の再開発事業によって誕生したまちだ。
操業時代、石炭を蒸し焼きにしてガスを製造していた港明工場一体は、名古屋市内で最も高炭素な場所だったと言っても過言ではないだろう。およそ60年もの間生産を続けられたのは、地域の理解や協力があったからこそ。そのため工場の閉鎖が決まり、跡地をどう活用するか計画する際には、「地域社会への貢献」が何よりも重要視された。折しも港区の人口は、年々減少傾向にあった。新たなまちづくりによって、地域の活性化の一助になればという想いのもと、東邦ガスは前例のない新規事業に挑むことを決める。
2013年、開発コンセプト「人と環境と地域のつながりを育むまち」を掲げ、環境に配慮した先進的なまちであり、災害に強いまちであり、にぎわいのあるまちづくりを本格化した。石橋がプロジェクトに加わったのは、第Ⅰ期開発エリアまちびらき後の2019年。青木の参画はその翌年だ。2人は開発の経緯や目的をメンバーたちと共有し、「まちの発展こそ、地域への恩返し」とそれぞれの想いを形にしようとしている。かつての高炭素なまちは、低炭素性と災害対応性を両立する、にぎわいのあるまちに生まれ変わっていた。

協議

  • REPRODUCTION
  • INTERACTION
  • CREATION
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選び続けてもらうために
多くの人と交わり、進化する。

大学で建築を学んだ石橋は、「お客さまの声が聞きたい」と、入社後の配属先として業務用営業を希望。営業時代にはガス小売全面自由化を経験し、これからも選び続けてもらうためには、新しいサービスが必要だと考えていた。建築に関連する部署で、何か新しいことに挑戦したいと、次の異動先として、実質的な“プロジェクト部”である用地開発推進部を希望。約2年後、ようやく希望がかなって異動してきたのだ。プロジェクトには、「まちの開発」「まちの運営」「エネルギー事業」という3つの柱があり、石橋が携わっているのは、まちの運営=エリアマネジメント。広報および交流活動におけるリーダーとして、まちの認知度と好感度向上を目的としたイベントの企画運営など、プロモーション活動を担当している。
一方の青木は、地元へのUターンを選択したキャリア採用組。エネルギー供給性能の検証や改善計画の立案および実施など、エネルギー関連業務を担当している。また、補助事業関連業務も担当し、入社後、国土交通省が実施する補助事業にも応募。共同申請者であるデベロッパーや設計事務所と何度も検討を重ね、無事に採択された。青木は、前職に比べてはるかに多くの人と関わり、刺激を受けているというがそれは当然かもしれない。エネルギー事業こそ、ガス会社が本領発揮できる分野。みなとアクルスでは、最先端の電力・熱・情報システムを組み合わせたエネルギーネットワークを導入し、商業施設や集合住宅など、需要バランスが異なる施設に最適なエネルギー供給を行っている。仕事の幅広さは、想定以上だった。

開拓

  • REPRODUCTION
  • INTERACTION
  • CREATION
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訪れたい、住みたい、働きたい!
ずっとにぎわいが続くまちへ。

第Ⅰ期開発において目指していた、低炭素なまちの運営。まち全体でエネルギー需給を管理するシステム「CEMS(コミュニティ・エネルギー・マネジメント・システム)」や、ガスコージェネレーション、太陽光発電、外部からの木質バイオマス電力など、複数の電源と熱源設備の導入などによって、目標達成の実績を積みつつある。これから本格化する第Ⅱ期開発では、カーボンニュートラルの実現という大きな目標に向かって、知恵を絞ることになるだろう。
このプロジェクトには、関係者がとにかく多い。プロジェクトメンバーの10人が中核となり、他部署やグループ会社、外部のパートナー企業と連携しながら進めているが、企業文化の異なる関係者の想いを、一つにまとめることには相当苦労するという。一方でメンバー間はコミュニケーションが活発で、タイムラグなく情報共有し合っている。プロモーションを担当する石橋にとっては、次の開発計画を見据えて、まちの魅力をタイムラグなしにPRできることが強みに。その結果、参画する事業者が増えれば、訪れたい、住みたいという人だけでなく、働きたいという人も増える。にぎわいづくりが発展していくイメージだ。
「情報が命」、石橋も青木もそう口を揃える。例えば、エリアマネジメントは東邦ガスでも初めての取り組み。イベント企画では、ターゲットの設定から開催案の検討、告知対応、当日の運営まですべて自分たちで手がけている。自宅に届いたDMにも、イベントの開催場所や時間帯、ネーミング、どのタイミングで告知が届いているのか、アンテナを張って参考情報を得るのだ。1人が得る情報は限られていても、10人いれば10倍の情報量になる。
生活者としての視点をまちづくりに反映できることが、プロジェクトの醍醐味。第Ⅰ期開発段階で、持続可能な開発目標「SDGs」の達成という新たな視点も加わった。数えきれない選択肢から最適解を見つけ出し、まちの魅力を創造する挑戦はこれからも続いていく。

人のために人とともに未来に挑む
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EPILOGUE

「星空映画祭」という名の
魅力的なイベントが開催されたことがある。
みなとアクルスエネルギーセンターの巨大な壁面と
まちの芝生空間を活用した屋外映画上映会だ。

ここは、0から1を創造するプロセスのなかで、
自分の想いを形にできるチャレンジングな場所。
女性の感性、建築士の目線、旅行で訪れたまち、
お気に入りの映画、もらってうれしかったノベルティ、
生活のなかに、まちづくりのヒントは転がっている。