PROJECT 01「フラノミスタ」プロジェクト 「1ドリンクサブスク」で 飲食店と地域に、にぎわいを。

同僚や友人との「ちょっと一杯」や「もう一杯」をもっと便利に、もっとおトクに。東邦ガスの「フラノミスタ」は、加盟店でのドリンクが毎日1杯無料になるという「1ドリンクサブスクリプションサービス」だ。ガス・電気サービスとは異なる、新たなビジネスはいかにして誕生したのか。「フラノミスタ」起ち上げのストーリーに迫る。

臼井 健二

事業開発部
2017年⼊社
経済学部 経営学科卒
※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。

STORY 01

サービスの原点は、
「困りごとの解決」にあり。

アプリに登録すれば、加盟店でのドリンクが毎日1杯無料になる。2軒目以降も各店で1杯無料になる。臼井が「1ドリンクサブスクリプションサービス」というアイデアに行き着いたのは、単なる思いつきではなかった。

「新規事業を生み出すことが、事業開発部のミッション。けれど、そこには『東邦ガスがやる理由』が必要だと考えていました。そこで、今、いちばん困っている部門はどこか。そのために何ができるのか。『フラノミスタ』はそこから誕生したサービスだったんです」
巻き込んだのは、都市エネルギー営業部。ガス・電力の自由化によって、競争のまっただ中にいる部門だ。その重要顧客である飲食店に資するビジネスを生み出すことができれば、既存の主力事業にもメリットを提供できるはず。そう考えた臼井は、同部門の協力を得て、飲食店へのヒアリングを重ねていく。
「当時の飲食店は、コロナ禍による集客に悩んでいました。従来のグルメサイトからの予約は、会社の宴会目的がほとんど。世の中は自粛モードでそこからの集客がままならないのに、定額料金は支払い続けなければいけない。『フラノミスタ』は、そんな困りごとを解決する新たな手段として考案されたものなんです」

STORY 02

「何のために」を追求し、
「全体最適」を図る。

既存のサービスとは一線を画す、個人にターゲットを絞った集客手段をつくる。そして、そのサービスに加盟する飲食店をランニングコストから解放する。至った結論は、ユーザーの課金によってビジネスを成立させる「サブスクリプション」だった。サービスの0から1をつくる。臼井らは、その工程のほとんどを自らの手で行ったのだという。

「普通なら広告代理店に任せて終わり、というものを自分たちで行いました。アプリの開発パートナーを探す。加盟店を探す。要望を満たすインターフェースを試行錯誤する。ネーミングを考える。そのすべてが新鮮な経験でした。とくに苦労したのは、アジャイル方式でスピード感をもった開発を行ったこと。コロナ禍が終わってからでは、何の意味もありませんからね」
スピードを重視して、プロジェクトを走らせながら、PDCAを回す。止まることや、失敗が許されないエネルギー供給事業では、あり得ないビジネスの推進スタイル。トライ&エラーを重ねながら、彼らは確かな価値を具現化していった。とくにこだわったのは、サービスをオープンにすることだった。
「東邦ガスをご利用いただいている飲食店に限定せず、どんなお店でも加盟できるオープンなサービスにすることを決断しました。社内でも幾度となく議論が交わされましたが、何より大切なのはこのサービスを『意味のあるもの』にすること。加盟店が限定され、多くの人々に利用されないサービスでは、飲食店の皆さんにメリットを享受することができません。すべては『全体最適』を考慮しての決断でした」

STORY 03

全国に広がる価値が、
東邦ガスの「殻」を破る。

臼井らの懸命な努力によって、「フラノミスタ」は無事にリリース。多くの加盟店からは喜びと感謝の声が寄せられているそうだ。

「何よりうれしかったのは、『こういうのを期待していたんだよ』と言っていただけたことですね。ガスを売りにいくだけの存在でなく、お客さまの課題を解決する価値を提案する。お客さまにとって、東邦ガスにとって、意味のあるサービスをつくれたことに手応えを感じていますよ」
同サービスのノウハウ・システムはOEMとして外部企業にも提供され、東京ガスの「よりみちパスポート」や、金沢エナジーの「NomTok(のむトック)」、北陸電力の「のむリンク」というサービスも立ち上がっている。これらのサービスは互いに連携し合うことが可能で、利用者はエリアを越えて「ふら飲み」を楽しむことができるようになるそうだ。加盟店数は東海・関東・北陸あわせて1159店舗(2022年12月時点)。臼井らが創り出した価値は、全国へと広がりを見せている。
「出張や旅行に出かけたときに、全国どこでも利用できる。交通系ICのような使い方をしていただけるように、さらなるチャレンジを続けているところです。このサービスを起ち上げたことで、社内からも大きな反響がありました。若手を中心に『こんなことができるんだ』とモチベーションにつながっているようです。事業としての発展は、まだまだこれから。ですが、常識の『殻』を破ることができたことに大きな手応えを感じているんです」

日本サブスクリプション
ビジネス大賞2022
特別賞(BtoC部門)を受賞

日本唯一のサブスク特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2022」において、東邦ガスの「1ドリンクサブスク」は特別賞(BtoC部門)を受賞しました。同イベントは各メディアに取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。