トップメッセージ
「事業構造の変革」を原動力に次代の成長へ
当社グループは、創業から100余年、エネルギーインフラを担う事業者として、多くのステークホルダーの皆さまに支えられながら成長を遂げてきました。しかしながら、ここ数年は、世界的な地政学リスクの高まりなどにより、エネルギーを取り巻く環境はその先行きが極めて不透明であり、また、脱炭素化や人口減少といった社会構造の大きな変化を背景に、従来の延長線上の発想だけでは持続的な成長を描くことは困難な状況となっています。
こうした中、当社グループは、2025年3月、グループビジョンで掲げた「目指す姿」の実現に向けた第二ステップとして「中期経営計画2025–2027」を公表しました。不透明かつ変化の大きい情勢下においても、エネルギーの安定供給という社会的責任を果たしながら、企業価値の向上に向けた「事業構造の変革」を推進します。
具体的には、これまでに培った強みを最大限活かしつつ、経営資源配分の見直しを加速し、電気事業や海外事業などの戦略事業を、都市ガス・LPガス事業などのコア事業に並ぶ規模に成長させます。
「事業構造の変革」に向けた中期経営計画初年度の振り返り
中期経営計画初年度の2025年度は、米国の政策動向など不透明な事業環境が続きましたが、当社グループは、コア事業における安全・安心・安定的なエネルギー供給という使命を果たしつつ、中期経営計画で掲げた「事業構造の変革」を着実に推進した1年となりました。
エネルギー事業のお客さま数は、中期経営計画の目標に向け順調に推移し、312万件に達しました。今後の成長を牽引する戦略事業においても、電気事業では2024年度に続き黒字となったほか、収益力強化へ向け大型ガスエンジン発電設備への投資を決定しました。海外事業では豪州での再生可能エネルギー事業へ参画するなど事業規模の拡大を着実に進めました。
3つの戦略を一つに結び「事業構造の変革」を加速
2026年度以降も不透明な事業環境が続くものと見込まれますが、当社グループは、中期経営計画で掲げた「事業戦略」「財務戦略」「人材戦略」を統合的に推進し、稼ぐ力を引き上げながら、「事業構造の変革」を加速します。
「事業戦略」コア事業と戦略事業の両輪で推進
事業戦略の取り組みとして、都市ガス・LPガスのコア事業では、原料調達での地政学リスクを考慮したバランスの良いポートフォリオを形成しつつ、万全の供給体制・サービス体制を整備しながら、安全・安心で安定的にエネルギーをお届けします。同時に、生成AIなど最新デジタル技術を活用した業務フローの見直しを推進することにより、物価上昇に伴う固定費増を吸収し、コア事業の収益基盤を維持・強化します。
成長を牽引する戦略事業として、電気事業では、料金プランやサービスの拡充などによる販売力強化や取引先拡大による調達力強化に加え、大規模な自社電源の建設を進めています。海外事業では、設立済みの米国や東南アジアの拠点を活用した事業推進体制を強化するとともに、海外事業全体のポートフォリオ確立を進めます。
カーボンニュートラルの実現に向けては、2026年3月に更新した「東邦ガスグループ 2050年カーボンニュートラルへの挑戦」でご紹介したとおり、「S+3E」をベースに、まずは天然ガスの普及拡大による低炭素化に注力します。さらに、2050年に向けて、e-methane(e-メタン)・バイオガスの導入や、水素の活用、カーボンクレジットの創出、再エネの開発を進めるとともに、これらにCO2分離回収・利用・貯留などを組み合わせることで供給エネルギーのカーボンニュートラル化を実現します。
「財務戦略」稼ぐ力の強化と資本効率の向上
持続的な企業価値の向上を実現するためには、資本効率の向上が不可欠です。
財務戦略においては、まず、コア事業におけるキャッシュ・フロー創出力の強化に取り組み、政策保有株式等の売却などもあわせて資金を確保し、成長の原動力である戦略事業への投資を加速します。その投資にあたっては厳格な投資規律を徹底するとともに、投資後もROIC(投下資本利益率)を用いたモニタリングにより稼ぐ力の底上げを図っていきます。
加えて、適切な資本構成を目指す「自己資本の最適化」を推進します。自己資本4,000億円を目安とする最適化に向け、2026年度も総還元性向100%を上回る株主還元を実行する計画です。
これらの取り組みの着実な実行により、当社グループは、中期経営計画の目標である連結経常利益300億円の達成と、株主資本コストを持続的に上回るROE(自己資本利益率) の確保を目指します。
「人材戦略」価値創造の源泉
当社グループは、「事業構造の変革」を牽引し、新たな価値を創造する最大の源泉は「人」であり、個人の成⾧が組織の成⾧へつながる好循環を生み出すことが必要と考えています。
具体的な取り組みとしては、従業員のエンゲージメントを高め、一人ひとりが最大限に能力を発揮し、成果や成長につなげられるよう、「人材マネジメント」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」「柔軟な働き方・ 生産性向上」「安全・健康管理」の4つの観点から、制度の拡充や組織風土の醸成などに取り組んでいます。また、変革への挑戦を後押しし、挑戦と成長の好循環を生み出すべく、2026年4月に「新たな人事処遇制度」を導入しました。
これら取り組みの詳細については、2026年3月に公表した「人的資本レポート2026」にて開示していますので、ご覧いただければと存じます。
持続的な成長を実現する「サステナビリティ経営」
当社グループは、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、ステークホルダーの皆さまとともに持続的な成長を実現するため、サステナビリティ経営を推進しています。「サステナビリティ経営」は比較的新しい言葉ではありますが、当社グループの創業者が提唱した「お客さま・株主・従業員は三位一体であり、これら企業をめぐる利害者の共存共栄が不可欠である」との普遍的な価値観に通じるものがあり、創業時から取り組んでいるものとも言えます。
2026年4月、サステナビリティ経営をさらに推進するため、取締役会の直下に「サステナビリティ協議会」を設置しました。環境・社会・ガバナンス(ESG)の各観点から、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を推進します。
環境(E)面では、天然ガスの普及拡大と低炭素化に向けたソリューション提供に注力するとともに、供給エネルギーのカーボンニュートラル化に向けた各種取り組みを加速します。
社会(S)面では、地域における社会課題解決に引き続き取り組みます。当社グループの社員一人ひとりが「地域に貢献したい」という思いを抱いており、この地域を思う気持ちは、組織風土として根付いています。これからもこの組織風土を活かしながら、地域の活性化やレジリエンス向上など社会課題の解決に貢献します。
ガバナンス(G)面では、コンプライアンスの観点として、独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底に向け、体制・ルールの整備・拡充に引き続き取り組みます。コーポレート・ガバナンスの観点としては、経営の透明性と独立性をさらに高めるべく、2026年6月に社外取締役を増員し、取締役会の社外比率を40%としました。ステークホルダーの皆さまから真に信頼される企業であり続けるため、今後もコンプライアンスの徹底、強固なガバナンス体制の構築に努めます。
地域社会の「まんなか」で頼られる存在であり続けるために
当社グループを取り巻く環境は不確実性と構造変化の中にありますが、当社グループは、2030年代半ばに戦略事業をコア事業に並ぶ規模に成長させる「事業構造の変革」に向けて、100年超の歴史で培った事業基盤や技術、知見などを強みに、この変化を新たな進化の契機と捉えて果敢に挑戦を続けます。
また、株主・投資家の皆さま、お客さま、地域の皆さま、そして従業員というステークホルダーの皆さまとの信頼関係を活かしながら、地域のくらしやビジネスの課題解決に真摯に取り組むことにより、「持続的な社会の実現をリードする企業グループ」として前進します。
今後も、地域社会やお客さまの「まんなか」で頼られる存在でありたいという決意を示したコミュニケーションフレーズ「未来の、まんなかへ」を旗印に、新たな挑戦に取り組んでいきますので、引き続き、当社グループへの一層のご理解とご支援をお願いいたします。