2知多緑浜 No.3タンク増設プロジェクト低廉なエネルギーの安定供給をめざした、3基目のLNGタンク建設

PROJECT MEMBER プロジェクトメンバー

小澤 康昭YASUAKI KOZAWA

生産計画部
生産計画第一グループ

小河 雄一郎YUICHIRO OGAWA

生産計画部
生産計画第一グループ

金原 慎治SHINJI KINBARA

技術部
電気・制御技術グループ

※当時は3名ともに技術部 緑浜増設プロジェクトに在籍

2009年に知多緑浜工場に建設したNo2.タンクに続いて、2016年8月に3基目のLNGタンクが完成した。No.1、No.2タンクと同様に世界最大級の地下式LNGタンクは、既設の2基よりも1割ほど多い22万kLの容量を誇る。これら大規模な生産基盤の整備は、ひとえに「低廉なエネルギーの安定供給」を目指したもの。2017年4月、ガス小売全面自由化を迎えるにあたり、お客さま第一主義を貫き、原料調達の多様化を実現するために尽力した3人のメンバーに焦点を当ててプロジェクトを紹介する。

No.3タンク増設の背景と目的

2011年度、数百億円規模のビッグプロジェクトとなるNo.3タンクの増設が決定した。その背景には2つの理由がある。一つ目は、東日本大震災によって、エネルギーの安定供給や安全・安心なインフラ整備への意識が大きく高まったことにある。もう一つは、原料であるLNGの調達をめぐる環境変化への対応だ。契約期間などの調達手法の多様化、LNG性状の多様化、LNG船の大型化などの変化に対応できなければ、原料調達の好機を逃す恐れがある。タンクの貯蔵量が増加すれば、LNG価格が安いときに機動的に購入し、保管しておくことができる。
東邦ガスはLNGの受け入れを、現在の300万tから400万tに対応できる体制に強化していくことをビジョンとして掲げた。このビジョン達成は調達部門だけで成し得るものではなく、一丸となった取り組みが必要不可欠。受入時期や熱量にかかわらず、いつでもいかなるLNGでも受け入れることができるよう、工場運用の柔軟性を高めることは生産部門の至上命題であった。
エネルギーを安く、安定して供給することは、お客さまの利益に直結する。No.3タンクの増設は、自由化時代の競争力を高める重要なプロジェクトと位置づけられた。
このプロジェクトに、小澤は電気・計装工事のチーフとして、小河は機械工事の担当者として参画する。のちに金原は電気・計装工事の担当者として加入。こうして一大プロジェクトが始まった。

壮大な建設プロジェクト、本格始動

2012年春にはいよいよ準備工事がはじまる。タンクの建設に必要な工事は、大別すると土木と機械に分けられ、電気・計装は機械工事とともに進めていくことになる。同時に、知多緑浜工場では、複数の建設工事が並行して進んでいた。例えば、知多緑浜工場からの送ガス管の2系統化や、停電時のガス製造能力を確保する非常用自家発電設備。さらにタンク内で発生したガスを液化する新設備(BOG再液化設備)の建設。当社初となるBOG再液化設備は、従来設備に比べて消費電力を5割削減できる。どれもNo.3タンク増設に並び、安全かつ低廉なLNG工場の運用に欠かせない工事だ。小澤も小河も複数の案件を同時進行するなかで、プロジェクト管理のノウハウやマネジメント能力、そして相当なタフさを身につけていった。

次第に一つになる、メンバーの思い

No.3タンクの土木工事が内部掘削工事に移行した2013年春、機械、電気・計装機器に関わる詳細設計が順次スタートした。このタイミングで、金原がプロジェクトに加入。チームの常駐メンバーも8人に増えていた。No.3タンクの機械工事は本格化し、付帯配管、配電、制御システムの基本設計から設備機器のメーカー選定、それらの詳細設計へと作業は進む。担当する業務は違えど、「『自由化時代への競争力』の核となるNo.3タンクを完成させ、全社員の期待に応えたい」そんな気持ちがメンバーを1つにさせた。
一方、名古屋城がすっぽり入ってしまうほどに深いタンクの底部では、工場で製作された低温用ニッケル鋼製の屋根ブロックの組み立てが完了していた。こうして完成した屋根を空気圧で浮上させる作業「エアレイジング」は、タンク機械工事の一大イベントだ。地下50mにあるタンク底部から、約1,000tの重さの屋根がゆっくりと浮上し、地上で固定されるさまは圧巻。地中からタンクの屋根が姿を現すと、その壮大な光景にメンバーたちの気分は高揚した。

各分野のエンジニアたちが、難題をクリア

エアレイジングを終えると、次は保冷・メンブレン工事に入る。-162℃のLNGが気化したり漏洩したりしないように、タンク内面に保冷材とメンブレンという厚さわずか2mmの金属膜を取り付けていく。本プロジェクトでは高い安全性と品質を保ちながら、コストを抑えることが必須であった。No.3タンクでは取り付けるメンブレンを大型ブロック化して、既設の2基よりも溶接や組み立ての工程を減らすことに成功。屋根にも新開発の鋼材を採用するべく、小河は何度も開発メーカーを訪れ議論を重ねた。その努力が実り、結果、従来の強度を保ちながらもコスト削減を実現した。一連のプロセスのなかで一人ひとりが課題をクリアし、結果として、建設費を1割以上削減することができた。

緊張感の中、タンク完成の頂へ

いよいよプロジェクトは佳境へ。錯綜する工事、数多くの技術的課題を乗り越えながら形づくられていったNo.3タンク。ラストはタンクにLNGを受け入れ、そして送り出す役割を担う配管、電気・計装設備の構築だ。金原の言葉を借りれば、タンクを機能させるための配管や電気・計装設備は、「身体に例えると血管や神経のようなもの」。工場の運転における中枢を担う作業には、張り詰めた空気が漂う。配管に漏れはないか、ケーブル1本1本に接続ミスはないか、細かなチェックを行っていく。
すべての機器や計器の動作確認検査を終えると、No.3タンクのスタートアップとLNGの初受け入れを実施。そして2016年8月、完成に伴いプロジェクトは解散した。そして今後、完成した設備をいかに上手く活用し、工場運用の柔軟性を高めるかがビジョン達成の鍵となる。2018年には新たにアメリカからのLNG調達もスタート。次の挑戦は既に動き出している。
自由化時代にふさわしいNo.3タンクの完成を目指し、各分野のエンジニアがバトンを渡すように連携し合い、全員がゴールまで同じ方向を見て協働した4年間だった。
このプロジェクトで得たものを財産に、メンバーは今、それぞれの場所で挑戦を続けている。

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