4みなとアクルス開発プロジェクトにぎわいと潤いにあふれた、未来のまちづくり

PROJECT MEMBER プロジェクトメンバー

今枝 薫IMAEDA KAORU

用地開発推進部
港明開発グループマネジャー

変革期を迎えるエネルギー業界を先導すべく、東邦ガスは総合エネルギーサービス企業として大きく舵を切る。その突破口ともいえる新たな挑戦が、ガスコージェネレーションを軸に、太陽光発電、グリーン電力、大型蓄電池などを組み合わせガス・電気・熱・情報のネットワークを備えたスマートタウン「みなとアクルス」の開発プロジェクトだ。舞台となるのは名古屋市港区、名古屋ドーム6個分に相当する31ヘクタールもの広大な自社グループの工場跡地。来る2017年には、この場所に持続可能な社会の実現を目指した、日本最高水準の大規模スマートタウンが誕生することになる。まち全体が一体感をもち、憩いや交流の場に溢れた緑豊かな都市空間の創出、そんなプロジェクトの方向性がおぼろげながら見えてきた2013年、核となる「エネルギーセンター」の建設からプロモーションまでを手がけるキーパーソンとして、今枝の加入が決定した。

プロジェクトの基本構想づくり

およそ60年もの間、生産拠点として操業していた旧港明工場。操業停止後の用地活用について検討を重ね、開発事業計画が具体的にまとまりかけたのは2012年のことだった。エネルギーと環境面において先進的な取組みや、地域の活性化と防災に資するまちづくりを進めることにより、環境調和型社会の実現と地域の発展に寄与する。東邦ガス初の大規模都市開発プロジェクトが始動することになった。
プロジェクトの基本構想は社外からも賛同を得られ、名古屋市が策定した「都市計画マスタープラン」に重点地域として指定されたことで、プロジェクトは上々の滑り出しを見せた。

まちづくりの未来予想図を描く

前例がないプロジェクトを進めるには、関わる人すべてが共通認識を持つことが必要だ。それを言葉で表現した基本コンセプトは、目指すべき完成形を各自が描くときの指針になる。プロジェクトメンバーたちはパートナーであるコンサルティング会社とともに、何度も協議を重ね、コンセプトを練り上げていった。

基本コンセプト 「人と環境と地域のつながりを育むまち」

1 環境と省エネの取組みによる先進的なまちづくり
2 地域防災に資する災害に強いまちづくり
3 多様な人々が集い交流するにぎわいのあるまちづくり

エネルギー業界においての共通テーマともいえる「環境と省エネ」について、ガス会社の強みを活かすとともに、ライフラインを担う企業として「災害対策」にも力を入れていく。地域防災の意識は、東日本大震災が起きたことから、初期の計画段階よりかなり重要度が増した。万が一、大きな地震や津波が起きても、ライフラインがストップしないまち。災害に強いまちづくりは、これからの都市開発における必須キーワードとなるだろう。

共同事業者の決定

新しいまちは、地下鉄名港線「港区役所」駅と「東海通」駅中間の北西方向に広がっている。区役所はもちろん、図書館や小学校・中学校も近く、さまざまな人々が行き交う、賑わいのあるまちづくりの実現を目指す。開発にあたっては用地を二つに分けて、段階的に開発を進める。第Ⅰ期開発では、東邦ガスとグループ会社の東邦不動産とともに、三井不動産と三井不動産レジデンシャルが共同事業者として一緒に開発を進めることが決定した。

事業予定地

新しいまちのカタチが少しずつ見えはじめた。プロジェクトチームに今枝が加入したのは、ちょうどこの頃である。2014年に入ると近隣住民への説明会が行われ、環境影響評価準備書、都市計画提案書が提出された。すべてが順調に進んでいるようにみえたが、スマートタウンづくりの礎となるエネルギー計画の基本設計においては、当初の完了予定に遅れが生じていた。

立ちはだかる「事業性」という壁

エネルギー計画の基本設計が遅れた理由は、事業性が厳しいと判断されたことにある。エネルギー計画は、東邦ガスが今後手がけていく総合エネルギー事業のいわば「ショーケース」。そのため、さまざまなバリエーションを想定した試みを、このエネルギーシステムで実現する必要があった。エネルギー計画は東邦ガスが開発する意義ともいえる重要な部分であり、妥協は許されない。1990年比で国内トップレベルの省エネルギー率40%、CO2削減率50%を目標に掲げ、これらの条件を満たすエネルギーシステムの設計を進めていたが、建設費高騰のあおりを受け、開発コストが予定よりも高い試算結果となった。開発コストはその後のエネルギー単価にも大きく影響する。また、持続可能な社会の実現にあたっては、開発だけでなく継続的に運営していくためにも採算性をシビアに図る必要がある。よって、エネルギーシステム構成の一部を見直すことに踏み切った。
今枝はチームメンバーとともに、法的な規制緩和の活用や開発コストの軽減に寄与する補助事業を適用してもらうため、関係省庁への積極的な働きかけに奔走した。今枝たちの努力が実り、2014年の夏に2件の環境省補助事業の採択が確定する。補助金の獲得により事業性の目処が立ったことで、プロジェクト最大の難題を乗り越えられたのだった。

新しいまちの開発着手へ

エネルギー計画はその後、運用・メンテナンス性まで考慮し、より詳細な検証を行った。エネルギーシステムの核となるエネルギーセンターを建設し、各施設に電気と熱を供給した場合の事業性を慎重に検討した。
2014年8月、経営会議と取締役会において、当社グループが関わる第Ⅰ期開発のエネルギー計画を含めた全体の開発計画、事業費、事業性の評価等を報告。その上で、開発に着手することが正式に承認された。
また、2015年に入ると、前年度に名古屋市が創出した低炭素モデル地区第1号に認定。今枝は「このプロジェクトが、環境省や名古屋市に後押しされる形でスタートできたことは大きな励みとなった」と語る。

まちの全貌が明らかに

本プロジェクトは、2016年から2017年にかけての竣工・開業に向けて着々と準備が進んでいる。基盤整備工事に着手し、エネルギーセンター建屋やエネルギー設備においても各種発注手続きが開始された。第Ⅰ期のまち開きに向けて、名称やロゴなど、まちの「顔」となるパーツも整備されつつある。
港区につくる新しいまち「みなとアクルス(minato AQULS)」は「AQUA」「LINK」「SMART」の文字から「AQULS」と名付けられた。それぞれの言葉は
「AQUA : 運河・自然に親しみ、こころ潤うまち」
「LINK : 人と人、人と地域をつなぐ、笑顔咲くまち」
「SMART: スマートエネルギーを実現し、進化するまち」
を意味している。このまちを歩くたびに、みずみずしい出会いが広がり、みなで次の未来を育てていく、「みなとアクルス」の名にはそんな想いがこめられている。
この名称のロゴは、この地の特色である水辺と、開発コンセプトである「人」「環境」「地域」のつながりが豊かな未来を織り成していくイメージを表現した。

みなとアクルス

「みなとアクルス」は4つのゾーンで構成。第Ⅰ期開発は、「にぎわい交流ゾーン」に三井不動産が手がける東海3県で初進出となる『ららぽーと』、「住宅ゾーン」には三井不動産レジデンシャルによる約500戸の集合住宅(分譲)を計画している。東邦ガスグループでは「スポーツ・レクリエーションゾーン」にゴルフ練習場『邦和みなとゴルフ』やベーカリー&喫茶『チェリー』などを、「複合ゾーン」には水素ステーションと天然ガス・LPガス スタンドを併せ持つエコステーションを、「にぎわい・交流ゾーン」にエネルギーセンターを建設する。

「邦和みなとゴルフ」、ベーカリーカフェ「チェリー」

今後は、「スポーツ・レクリエーションゾーン」のゴルフ練習場やベーカリー&喫茶、「複合ゾーン」のエコステーションが2016年春に開業予定。2017年には、エネルギーセンターからのエネルギー供給がスタートし、商業施設の開業とともに、集合住宅の分譲を順次開始する予定だ。また第Ⅱ期開発では、複合ゾーンに研究開発・教育施設、地域の生活を支える医療・老人福祉施設などを整備する。
新しいまち「みなとアクルス」としての魅力や価値を高め発展させていくために、発信力や地域サービスなどソフト面をどのように充実させていくかが、今枝の次なる挑戦のひとつだ。
東邦ガスが創る新しいまち「みなとアクルス」は、未来の扉を開く、ワクワクするような魅力にあふれている。

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