救急予防のための家庭内事故の推計
~85万件の名古屋市救急出動データの活用



1. 研究/開発のねらい

当社では、エネルギーを上手に活用し、安全で快適な暮らしをお客さまにご提案できるように、様々な調査研究を行っています。
本研究では、名古屋市消防局から救急出動データの提供を受けて、名古屋市における家庭内事故の実態を明らかにするとともに、救急予防のため住まいの観点から対策を検討しました。
本研究成果により、2018年10月18日に、名古屋市消防局さまと救急予防啓発に関する連携協定を締結しました。今後、様々な連携事業を展開していく予定です。

年々増加している名古屋市の家庭内事故数

図1 年々増加している名古屋市の家庭内事故数

2. 研究/開発の成果

家庭内事故の増加要因を明らかにするため、外部の公的データと連結させ、複合データベースを作成し、多変量解析を実施しました。
その結果、高齢人口増加の影響が圧倒的な増加要因であることが判明しました。一方、住まいに関しては、廊下や浴室への手すり設置率の上昇や一般住宅に対する共同住宅ストックの減少、人口密度の上昇は事故抑制要因であり、住宅のバリアフリー化と共に地域コミュニケーションの活性化が、事故抑制には重要であることがわかりました。

家庭内事故発生寄与度(赤は事故増加要因)

図2 家庭内事故発生寄与度(赤は事故増加要因)

上記の多変量解析により、高精度な家庭内事故発生数の予測式が構築できたことから、2030年の家庭内事故将来推計を行いました。住宅内バリアフリー化として、住宅断熱改修(断熱リフォーム)や手すり設置等を推進すれば、推進しないときに比べ約1万1千件の事故抑制につながることがわかりました。これは、消防小隊3隊分の維持費に相当する効果となります。

住宅内バリアフリーによる事故抑制数

図3 住宅内バリアフリーによる事故抑制数

表1 将来推計のための諸条件

要件 2015年 2030年 考え方
成り行き 対策あり  
人口(人) 2,295,638 2,113,676 名古屋市推計値
高齢化率(%) 24.0 32.6 名古屋市推計値
一般住宅/共同住宅比 0.49 1995~2015年傾向維持
人口密度(人/km2) 7,878 7,152 名古屋市推計値
1990年以前建築率(%) 38.7 29.7 5.0 建替え、断熱改修含む
浴室手すり設置率(%) 36.0 45.5 65.0 16区平均
廊下手すり設置率(%) 9.9 15.9 22.0 16区平均
居住室手すり設置率(%) 2.2 2015年維持
日照時間(h) 2,100 2,128 1995~2015年平均

これらの分析結果に基づき、名古屋市消防局さまと家庭内事故予防啓発に関する連携協定を2018年10月に締結しました。

2018年度連携事業で制作した家庭内事故予防啓発ポスター

図4 2018年度連携事業で制作した家庭内事故予防啓発ポスター

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