トップメッセージ

お客さまの「くらし」と「ものづくり」を支え、地域の発展と社会の低炭素化に貢献します。

中期経営計画の進捗と評価

中期経営計画の位置づけ

当社は、2022年に創立100周年を迎えます。100周年までの3年間(2019年度~2021年度)を計画期間とする現行の中期経営計画(以下「中計」)は、全面自由化時代に当社がとるべき戦略の方向性を示すと同時に、将来にわたる持続的な成長に向けた足掛かりを築くための基本的な方策を示したものとの位置づけです。
この3年間は、自由化をはじめとする大きな時代の流れに加え、新型コロナウイルスの流行による経済や社会生活への影響などの事業環境の変化にスピード感を持って対応するとともに、2022年の法的分離に向けて事業構造を大きく見直すなど、極めて重要な変化の局面に立っていると認識しています。

2019年度の振り返り

その中計初年度にあたる2019年度は、まずまずのスタートを切ることができたと評価しています。記録的な暖冬やお客さま先設備の稼働減、自由化の影響など、当社グループにとって大変厳しい状況ではありましたが、新規需要の獲得やスライドタイムラグ損益の改善などにより期初の利益計画を達成することができ、「3年間で1,600億円以上を創出する」との営業キャッシュフロー目標は、初年度で40%超の進捗率となりました。

個別の取り組みについても、当社の強みである「エネルギー」と「地域」を中心に、新たな試みを含めて着実に進展しました。まず 「エネルギー」の面では、経済の減速や自由化の影響はあったものの、都市ガス・LPGの新規開発や電気の契約獲得、ヤマサグループの子会社化により、地域におけるトータルでのエネルギーシェアが拡大しました。また、油から都市ガスへの燃料転換やガスコージェネレーションの導入などを通じて、お客さま先におけるCO₂削減に貢献できたほか、電源構成に占める比率は未だ数%ではありますが、太陽光発電設備の保有や再エネファンドへの投資など、再生可能エネルギーの導入にも注力しました。

代表取締役社長 冨成 義郎

次に「地域」の面では、エネルギーの地産地消に向けて、三重県松阪市に続き愛知県岡崎市でも地域新電力を立ち上げました。公立小中学校へのガス空調導入を進め、将来を担う子供達の学びの環境整備に貢献したほか、みなとアクルスの開発など、地域の発展・活性化に資する取り組みも推進しました。食品ロスなどの低減を目指すショッピングサービス“ ※”や、障がい者雇用のさらなる創出と就労の定着を図る目的で設立した“東邦フラワー”など、社会貢献に資する事業も開始しました。

当社グループの強みを活かしながら地域の発展に如何に貢献していけるかが、ますます重要な課題になってきていると感じています。

※社会貢献型ショッピングサービス「junijuni sponsored by TOHO GAS」
「JUNIJUNI」および「 」は東京ガス(株)の出願商標です。

中期経営計画目標の進捗

  2019年度 中計目標
2021年度
天然ガス お客さま数※1 251万件 255万件
販売量※2 38.8億m3 41億m3
LPG お客さま数※3 58.9万件 51万件
販売量 48.6万トン 49万トン
電気 お客さま数 33.5万件 30万件
販売量 9.9億kWh 10億kWh
お客さま先でのCO2排出の抑制量 14.1万トン 60万トン
  • ※1 取付メーター数
  • ※2 LNG販売分を含む
  • ※3 配送受託件数を含む
  2019年度 中計目標
2019年度~2021年度
営業キャッシュフロー   683億円 累計1,600億円以上
都市ガス事業投資 277億円 累計800億円以上
成長事業投資 207億円 累計600億円以上
ROA 2.9% 3%以上

計画の達成に向けて

事業環境認識

2017年から始まった都市ガス小売り全面自由化は4年目に突入しましたが、お客さまの流出は依然として続いており、新規参入事業者も増加するなど、競争は一層激しさを増しています。加えて、近年見られるデジタル技術の急速な進歩と浸透、低炭素化・脱炭素への社会的要請の高まり、世帯数・人口の減少など、今後の我々の事業活動に大きな影響を与える外的要因は多数存在しています。

足もとでは、これらに「コロナショック」が追加されました。国際関係から社会やお客さまの価値観・行動様式に至るまでさまざまな変化が起こるとともに、現下の課題の進行や将来課題の顕在化が加速する可能性が高いと見ています。「何が変わり、何が変わらないのか」、「変化によるリスクとチャンスはどこにあるのか」を見極めながら、組織体制と仕事の進め方、効率性と働きがいを両立させた働き方、お客さま対応のあり方など、あらゆる面で将来のニーズやチャンスを先取りした変革を進めていきます。

代表取締役社長 冨成 義郎

取り組みの方向性

中計2年目となる2020年度は、第1四半期決算のタイミングで、今後の経済動向などに一定の前提を置いた上で、通期の計画値を公表しました。状況は刻々と変化していくと思われますが、早めの手当てによる手堅い舵取りを基本に、柔軟に軌道修正を行い、厳しい事業環境を乗り切っていきます。同時に、当社グループの次なる成長に向け、中計達成に向けた施策展開のスピードアップを図りながら、事業基盤の強化・拡大を進めます。

「変わるもの」の一例として、社会的距離の確保への要請や働き方・価値観の変化により、デジタルシフトの加速が確実視されていますが、「非接触」のサービス領域が拡大する一方で、人と人とのコミュニケーションや直接接点を通じた個別サービスの価値は一層高まっていくのではないでしょうか。また、コミュニティの最小単位である「家族・くらし」から、より大きな単位である「会社」や「エリア」まで、コミュニティ内部における連携の強化がより重視されるものと思われます。

中計に掲げた3つの重点戦略との関係で言えば、エネルギー供給を核としつつ、こうした変化を捉えて「お客さまの心に響くサービス」を素早く組成する。これを、既存のお客さまのみならず、周辺地域を含めたより多くのお客さまにお届けし喜んでいただくために、我々の強みであるリアル接点を磨き上げるとともに、デジタル接点を拡充する。こうした取り組みが地域活性化の基盤となり、結果として「トータルエネルギーシェアの向上」や「事業領域の拡大」につながってくると考えます。

また「変わらないもの」という意味では、今回のコロナにより、我々が「安定供給、安全安心の確保」という重要な使命を負っていることを改めて強く感じました。これまでは「地震・気候変動×防災・減災」の観点に立って、設備対策・緊急時対策や分散型エネルギーシステムの普及拡大に取り組んできましたが、今後は「感染症対策」の観点も加えて、使命を遂行する社員の健康管理や働く環境の整備に努め、引き続き地域全体のレジリエンス強化に貢献していきます。

併せて、今後の事業環境の変動に対する耐性を高めるべく、抜本的なコスト構造改革を行い、よりスリムで強靭な経営基盤を構築すべきとの思いも強くしました。具体的には、現行1,100億円程度の固定費を、中計期間中には1,000億円台の半ばに、将来的には1,000億円程度で運営できる実力をつけていく所存です。

当社グループを取り巻く環境変化が一段と加速する中にあっても、中計に掲げた方向性自体が変わるものではなく、その重点戦略をやりきることが、100周年のその先に必ずつながってくると確信しています。

持続的な成長に向けて

今日に受け継がれる創業精神

東邦ガスグループが長期持続的に成長していくためには、中計の完遂による事業基盤の強化・拡大に加え、これまで以上に「社会的な責任」を果たしていくこと、即ち、社会や環境に配慮した責任ある企業活動を通じて社会の持続性向上に貢献すること、が重要になると考えています。これはまさにESGの考え方であり、目指すところはSDGsと同じであるとの認識です。

今からおよそ100年前、東邦ガスの初代社長である岡本桜は、「お客さま、株主、従業員は三位一体であり、これら企業をめぐる利害者の共存共栄が必要不可欠である」との経営理念を掲げ、この考え方を社会公共面における奉仕(サービス)論にまで拡大し、地域社会の福祉の増進、地域社会との一体化を主張しました。この考え方は脈々と今に受け継がれ、現行中計の核を成しています。それは、「エネルギー供給を通じてお客さまのくらしとものづくりを支え、地域の発展と社会の低炭素化に貢献する」という中計の冒頭文に表れており、ESGに通じる考え方です。

ESGへの取り組み

“E(環境)”に関する新たな取り組みの一例として、2020年4月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同しました。長期的な低炭素化・脱炭素の流れの中で、天然ガスと再生可能エネルギーとの調和を図り、気候変動が及ぼす影響を見据えながら、エネルギー事業者として持続的な成長を図っていきます。また、2020年6月に開始された経団連の新たなプロジェクト「チャレンジ・ゼロ」への参加を通じ、水素利用技術の開発など、ネット・ゼロカーボンに向けたイノベーションにも挑戦していきます。

“S(社会)”については、この地域におけるお客さまのお困りごとや、地域が抱える社会的課題を解決するために、当社グループとしてどんなサポートができるのかという考え方が基本になります。地域のお客さまを通じて世界中の国々・人々とつながっているとの認識のもと、グローバルに通用する考えを持って地域に向き合い、エネルギー供給を核に、地域のニーズに応えられる貢献をしていきたいとの想いです。こうした考えに共感し、取り組みを支えてくれる同志、即ち、変化への高い感度や豊かな感性を持ち、地域のために考え抜いて行動に移すことのできる人材の採用・育成も重要です。彼ら彼女らがいきいきと活躍できる環境の整備にも注力していきます。

そして、今回特定したマテリアリティのパートでも記載しているように、あらゆる事業活動のベースとなるのがG(コンプライアンス、ガバナンス)の部分です。お客さまや地域社会との間で築いてきた信頼の絆を次につないでいけるよう、また、投資家の皆さまに安心して投資いただけるよう不断の努力を重ねます。こうした取り組みが、直接・間接に、SDGsの達成につながっていくものと考えています。

長期ビジョンの検討

これらを具現化するものとして、2020年度の後半から、100周年以降を見据えた将来ビジョンについての議論を開始する予定です。創立90周年を機に策定したグループビジョンの精神を活かしつつ、以降のさまざまな環境変化を踏まえ、時代の流れと当社としての拘りを融合させる中で、目指すべき将来像を明確にしていきます。言い換えれば、100年の節目に、我々の存在意義を改めて問い直す作業です。

目まぐるしく変化する経営環境ではありますが、短期・中長期両方の視点で、お客さまや地域社会、株主・投資家、従業員など、ステークホルダーの皆さまからの信頼にお応えすべく、全力で経営にあたっていきます。引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。

資本政策について

基本方針

資本政策のポイントは、グループの持続的な成長、資本効率の向上、財務健全性の維持といった課題をバランスよく達成していくことです。
中計では「3年間で1,600億円以上のキャッシュフロー創出」を目標としておりますが、一定の財務健全性を維持しながら、これをガス事業や成長事業への投資、株主還元にバランスをとって配分していきます。

投資

本業である都市ガス事業の基盤整備とさらなる成長に向けた投資に加え、事業領域の拡大に向けた「成長事業投資」を実施していきます。
成長事業投資は、投資額自体が目的化しないよう、身の丈に合った良い案件を厳選して取り組みます。とくに、コロナ影響などにより経営環境が大きく変わっている状況を踏まえ、候補案件の事業性を慎重に吟味し、「エネルギー」、「地域」を中心に、投下資源を集中していきます。良い案件があれば一定の借り入れも行っていきますが、今回のコロナのような状況や地震リスクにも備えていく中で、自己資本の厚みも相応に必要と考えています。

株主還元

安定配当をベースに自己株式の取得・消却を機動的に実施するとの方針のもと、これまで中長期的にみて当期純利益の4~5割の還元を実施してきました。
経営環境の見通しが不透明になる中であっても、基本的な考え方は変えず、安定的な株主還元を継続していきたいと考えます。

1株当たり年間配当金

(円)

1株当たり年間配当金
  1. ※ 2017年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行ったため、年間配当金は、当該株式併合の影響を考慮した数字としています。
自己株式の取得

(百万円)

期間 買付総額
2001年2月~5月 2,499
2001年11月~02年3月 2,999
2002年11月~03年6月 5,581
2003年8月 344
2003年11月~04年6月 4,150
2004年12月~05年3月 2,507
2006年2月~6月 1,746
2007年2月 2,668
2008年2月~3月 2,784
2009年12月~10年3月 2,996
2011年3月~6月 2,751
2015年5月~6月 2,999
2016年5月~6月 2,381
2017年3月 2,199
2017年5月~7月 2,994
2019年8月~10月 2,999
合計 44,606

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