気候変動への取り組み

当社グループは、これまでも環境性に優れた天然ガスをはじめとするクリーンエネルギーの普及拡大と高効率・高度利用等を通して、気候変動への取り組みに積極的に対応してきました。こうした中、ESG投資が拡大している金融市場では、近年の自然災害の多発を受け、特に気候変動に伴うリスクと機会に注目が集まっていることを踏まえ、2020年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同しました。
今後も、エネルギー供給を通じて社会の低炭素化に貢献するとともに、将来の脱炭素化を見据えた技術開発にも取り組んでいきます。

TCFD

TCFDは、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、金融安定理事会(FSB)※により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、設立されました。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスクおよび機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。

※各国の金融関連省庁および中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関

TCFD
項目 対応 参照元
ガバナンス 気候変動関連のリスクおよび機会に関わる組織のガバナンス 気候変動に伴うリスクと機会は、重要な経営課題として、経営会議および取締役会に報告され、取締役会は執行状況を監督しています。
戦略 気候変動リスクおよび機会の影響と対応 シナリオ分析を用いて、気候変動のリスクを洗い出し、リスクと機会の影響と対応を整理しました。
リスク管理 気候関連リスクの識別・評価・管理プロセス 気候変動によるリスクは、全社のリスク管理体制・プロセスに統合され、経営会議および取締役会に報告されます。
指標と目標 評価・管理に使用する指標と目標 気候変動に伴うリスクと機会は、ガス販売量や環境行動目標等を用いて管理しています。

戦略(気候変動に伴うリスクおよび機会の影響と対応)

当社グループは、2℃シナリオと4℃シナリオ※という気候シナリオを用いて、TCFDが推奨するシナリオ分析を実施しました。その中で、移行リスクはIEA(国際エネルギー機関)、物理リスクは気象庁などのデータを参考に、2050年の社会像を想定し、以下のとおり「主なリスク・機会」「影響」「主な対応」を整理しました。
「主な対応」については、トランジション(現実的な移行)を意識し、第5次エネルギー基本計画に基づき、「3E+S」の原則の下、エネルギー政策とそれに基づく対応を着実に進め、2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指すことを基本とし、低炭素化と将来の脱炭素化を見据え、対応策を検討しました。

※2℃シナリオ : 産業革命以前に比べて気温上昇を2℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ(RCP2.6)。
4℃シナリオ : 産業革命以前に比べて平均気温が4℃上昇するシナリオ。気候変動に対し追加の対策が講じられない場合の成り行きシナリオ(RCP8.5)。

分類 主な
リスク・機会
※1
影響 主な対応









[炭素税の
上昇]
  • 競合力の変化

〇炭素税が、化石燃料に一律に課税された場合、CO2排出の少ない天然ガスの普及拡大が見込まれる。

【対応】
燃焼技術を活用した燃料転換の推進、LNGローリー供給による広域展開、LNGバンカリングの推進など

〇CO2分離回収・有効利用(CCU)技術やメタネーション技術等に係る調査・研究

[炭素税の
上昇]
  • コストの上昇
大幅な
再生可能
エネルギー
移行政策
  • ガス販売量への影響
  • 再生可能
    エネルギー
    需要の増大

〇再生可能エネルギーの普及努力とともに親和性の高い分散型電源の普及拡大を推進する。

【対応】
再生可能エネルギー+分散型電源の普及、高度な面的利用(CEMSやVPP技術による需給最適化)、エネルギー消費の極小化とレジリエンスの両立など

お客さまの
選好変化
  • ZEV化(FCV含む)に伴う工業用ガス販売量への影響

〇ZEV化に伴う燃料電池自動車(FCV)普及への対応を進める。

【対応】
FCVへの水素供給対応、水素インフラの整備推進など
  • ZEH、電化シフトによるガス販売量への影響

〇熱含む天然ガスの高効率利用とエネルギーの最適提案を推進する。

【対応】
高効率コージェネや燃料電池(SOFC等)の技術開発と普及推進、熱含む最適なエネルギー提案、ライフサポート・ソリューションサービスの提供など





※2

気象の
激甚化
  • 製造・供給設備への影響

〇気象の激甚化に備えた保安・災害対策を推進する。

【対応】
護岸補強など高潮対策、水密化など洪水対策
供給停止ブロック細分化による災害復旧の迅速化に向けた対応など

気温上昇
  • 暖房・給湯需要への影響

〇気温上昇に伴って高まる空調ニーズに対し、高効率な空調などを提案する。

【対応】
高効率なガス空調(冷房)の技術開発と普及推進、熱含む最適なエネルギー提案など
  1. ※1 はリスクを、は機会を表しています。
  2. ※2 2℃シナリオにおける物理リスクとその影響は、4℃シナリオに比べて小さく推移する見通しです。

用語集

●RCP(Representative Concentration Pathways:代表的濃度経路)シナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書は、2100年までにどれくらい平均気温が上昇するか4つのシナリオを提示して予測を示しており、最も気温上昇の低いシナリオ(RCP2.6シナリオ)で、およそ2度前後の上昇、最も気温上昇が高くなるシナリオ(RCP8.5シナリオ)で4度前後の上昇が予測されている。RCPの後の2.6や8.5などの数値は、地球温暖化を引き起こす効果(放射強制力と呼ばれる)を表す。数値が高いほど、温室効果ガスの濃度が高く、温暖化を引き起こす効果が高い。

4℃シナリオの世界

●LNGバンカリング

船舶へLNG(液化天然ガス)燃料を供給すること。

●CEMS(Community Energy Management System)

エリア全体のエネルギーを一括管理するシステム。

●VPP(Virtual Power Plant)

さまざまな需要家のエネルギーリソースをあたかも一つの発電所のように制御(活用)すること。

●FCV(Fuel Cell Vehicle)

燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る自動車。

●ZEV(Zero Emission Vehicle)

電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)など排出ガスを出さない自動車。

●ZEH(Net Zero Energy House)

断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。

●SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)

固体酸化物形燃料電池。セラミックスから構成される燃料電池であり、600~1000℃という高い発電温度が特徴。省エネ性・環境性に優れたコージェネレーションシステムとしての利用が期待できる。

●CCU(Carbon Capture and Utilization)

火力発電所等からの排ガス中のCO2を分離・回収し、有効利用(Utilization)する技術。

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