1欧州ガス配送事業出資プロジェクト事業領域の拡大に向けた、ポルトガル企業への出資参画

PROJECT MEMBER プロジェクトメンバー

鈴木 章夫AKIO SUZUKI

企画部
業務改革プロジェクト

滝 光伸MITSUNOBU TAKI

企画部
業務改革プロジェクト

強いガス事業の構築と、さらなる成長の実現を目指した事業領域の拡大。「欧州ガス配送事業出資プロジェクト」は、まさにその一翼を担う新しい挑戦といえるだろう。このプロジェクトは、東邦ガスが、丸紅株式会社(以下、丸紅)と共同で、ポルトガルの大手総合エネルギー企業「ガルプ社(Galp Energia, SGPS, S.A.)」傘下のガス配送事業会社「GGND社(Galp Gás Natural Distribuição, S.A.)」の株式を一部取得し、事業領域の拡大を目指したものだ。東邦ガスにとって初めての海外インフラ事業への出資プロジェクトには、立ち上げメンバーとして滝が、3ヵ月後に鈴木が加入した。

「業務改革プロジェクト」の立ち上げ

ガス小売全面自由化やガス事業制度改革により、東邦ガスを取り巻く環境は大きく変化。社員の危機感が強まっていた2016年1月、事業領域の拡大に向けて企画部内に一つのプロジェクトがスタートする。それが有期限の専属組織「業務改革プロジェクト」である。滝は立ち上げ段階から、それまでの担当業務と兼任する形で参加した。
成功の鍵を握るキーワードは「スピード感」。社内外の調整を図りながら迅速に検討を進め、早期に成果を出すことが課せられていた。そのためメンバーの補強が図られ、4月に鈴木が専任メンバーとして加入。6月には滝も専任となり、2人は精力的にプロジェクトに取り組んでいった。

結果を出せる優良案件の発掘

業務改革プロジェクトでは東邦ガスグループにおける既存事業の強化も手がけていたが、会社として持続的な成長を目指す上では、あわせて新規事業開拓による収益基盤の強化が急務。国内、海外を問わずエネルギー関連分野を中心とした幅広い情報収集や、社内外の関係者との意見交換などを経て、候補となる案件の具体化を急いだ。
専任の2人を含む5人のメンバー全員が強い意志を持ち、案件の発掘・具体化に向けた取組みを進めていったところ、以前からLNG調達などにおいて取引関係のある丸紅から、ガルプ社グループのガス配送事業会社(GGND社)への出資案件を紹介される。東邦ガスにとって海外インフラ事業への出資は前例がなかったが、ガス配送事業であればこれまで培ってきた知見を活かすことも可能と考え、丸紅をパートナーとする出資へのチャレンジを決めた。

丸紅と共同で一次入札に参加

ポルトガル国内のガス配送事業者11社のうち9社を傘下にもつGGND社への出資について、2016年4月に本格的な検討が始まった。親会社であるガルプ社がGGND社株式の一部売却先を入札で決める見通しとのこと。5月に行われる一次入札で候補者が絞られた後、7月の二次入札で最終決定されるというスケジュールだった。
出資するとなれば「豪州イクシスLNGプロジェクト※1」に次ぐ2件目の海外事業への出資、海外インフラ事業としては初の取り組みとなる。まずは東邦ガスが参画する意義や事業性、リスクについて判断することが必要だった。今回の出資参画は、日本に先んじてガス小売自由化やパイプラインネットワーク部門の分離(アンバンドリング)が進展している欧州ガス市場に関する知見・ノウハウを得るチャンスになり、自由化を迎える東邦ガスにとって得るものは大きい。またガス供給事業における経験、技術を活かすことができれば、GGND社の保安水準や事業価値の向上に寄与できる可能性もあることから、まずは一次入札に応札する合意を社内で取りつけた。

※1 東邦ガスが2012年に締結した当社初の上流権益取得案件。
オーストラリア沖の天然ガスプラントにおいて、産出される天然ガスの精製、液化、出荷を担う上流事業の出資などを行っている。
原料の安定調達の観点から今後も同様のプロジェクトの権益取得を目指している。

二次入札に向けたシビアな事業評価

2016年5月、一次入札を通過すると、GGND社のより詳しい情報が開示され、財務や契約関連などの膨大な情報が手に入るようになった。そこで現地の情勢に詳しい財務、会計・税務、法務、技術・環境など各分野の専門アドバイザーに対して、GGND社の資産価値や収益性、リスク等の分析を委託。それらやその分析結果や、ガス事業者としての知見などを踏まえて事業評価を行った。ちなみにこのプロセスを「デューデリジェンス」というが、各アドバイザーから日々送られてくる何百ページもの英文レポートを読み込み、パートナーである丸紅と要点を相互確認する作業は、今回のプロジェクトの中でも特に苦労するプロセスだったという。
6月には、パイプラインを中心としたガス供給設備の視察や、経営層へのヒアリングのためメンバーの2人が現地へ。そのうちの1人には、供給部門出身者が選ばれ、技術・知見を交えながらGGND社の社員と専門的な意見交換を行った。

海外ガス事業者との新しいパートナーシップ

7月に入ると、丸紅との間で、デューデリジェンスを踏まえた事業評価額の最終調整や、二次入札にあたっての両社間の取り決め等に関する打ち合わせに追われる日々が続く。複数回にわたる社内経営陣への説明にも、入念な準備が必要だった。
書類の山に埋もれながらも尽力してきた甲斐あって、二次入札の結果、東邦ガス・丸紅グループが株式売買契約の最終候補者に決定。成功の決め手の一つには、東邦ガスがGGND社と同じガス事業を営む企業であり、技術力や安全水準向上等におけるシナジー創出の可能性が評価されたことも挙げられる。こうして丸紅と共同で設立する持株会社が、GGND社株式の22.5%を取得することとなった。10月には新会社の設立や株式の売買など一連のプロセスが完了。これを記念して11月にポルトガルで式典が開催された。

メンバーたちが最初に手がけた新事業となった「欧州ガス配送事業出資プロジェクト」は、業務改革プロジェクト立ち上げから1年足らずで成果につながった案件といえるだろう。社内では新規事業への参画ノウハウを得るとともに、今後も長期的なパートナーとなる丸紅、ガルプ社グループと信頼関係を築くこともできた。しかし鈴木も滝も、この最初の挑戦が成功したからといって歩みを止めることはない。2人の目線はもう既に、さらなる事業拡大に向けた新しい挑戦へと向いている。

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