開発担当者インタビュー #03



高度な技術xお客さまの声に裏付けられた業界最高レベルの省エネ性。技術研究所 業務用燃焼技術グループ 清水誠也

東邦ガスでは、産業分野のお客さまの省エネや環境負担低減などのニーズに応えるため、さまざまな燃焼機器を開発しています。中でも、累計2,700台以上の販売実績を誇るのが、自動車部品等の熱処理工程で使用されるシングルエンドラジアントチューブバーナです。すでに従来から業界最高レベルであった熱効率を、今回さらに高めることに成功した新型バーナ「SRTNシリーズ」。その開発プロセスや技術のポイントを、技術研究所の清水さんにインタビューしました。

高まる省エネニーズに応えるために、より高効率なバーナを。

「シングルエンドラジアントチューブバーナ」とは、金属またはセラミックスのチューブ内でガスを燃焼させ、チューブからの輻射熱で製品を加熱するバーナです。燃焼ガスが熱処理炉の中に排出されないため、熱処理中の雰囲気を乱すこともありません。当社では、従来から高効率なシングルエンドラジアントチューブバーナを開発し、お客さまからご好評をいただいていましたが、お客さまの省エネニーズは年々高まる一方です。そこで、バーナメーカのナリタテクノさまとタッグを組み、さらなる高効率化開発に挑みました。

開発に4年を費やした「SRTNシリーズ」は、従来品から5ポイントの効率改善を遂げ、熱効率75% ※1を達成しました。これは、シングルエンドラジアントチューブバーナとしては業界最高レベルです。すでに高効率であった従来品からの更なる効率改善は非常に困難でしたが、これを達成できたことは、私たち技術者にとって大きな成功体験になりました。

この熱効率はトライ&エラーの賜物。試作と実験を繰り返す日々。

燃料ガスと空気を混ぜて燃焼した時に発生する排ガスの熱を、いかに無駄なく活用するか。これが、ガスバーナの効率を向上させるために、最も重要なポイントです。私たちは、「排ガスの熱を無駄なく燃焼空気の予熱に使うことができる最適な構造」をコンセプトに、バーナボディ構造を新規設計しました。

バーナの構造

具体的なアプローチ方法は、排ガスの熱を燃焼空気に与える熱交換性能を高めることです。熱交換による伝熱量は、熱を与える面積と速度が左右します。熱交換面積を広くするとともに、排ガス流路を最適設計し、流速を向上させる必要がありました。しかし、バーナボディ内で燃焼空気の予熱を行うと、その分、バーナボディの温度が上がり、耐久性が低下する副作用も考えられました。熱効率を上げながら、バーナボディも一定温度以下とする構造を導き出すのは、本当に苦労しました。

目標とする性能を達成するための、流速や熱交換面積の試算、それを基にしたバーナの設計、試作、実験…というサイクルを、目標値を達成できるまでひたすら繰り返します。思うような数値を出せないのはもちろん、そもそも着火しなかったり、うまく燃えなかったり、トライ&エラーの連続です。その都度原因を探り、ノズルやバーナボディの形状を微調整しながらやっとの思いで完成させた時は、ほっとして肩の荷がおりる思いでした。

このほかにも、従来よりも広いターンダウン比(定格燃焼量と最小燃焼量の比)で燃焼が良好となるよう、ノズルも新しく開発しました。ターンダウン比を広げたことで起動・停止回数が少なくなり、プレパージ(換気)などの放熱ロスが低減できます。このノズルは従来とは全く異なる構造で、特許も取得しました。

お客さまのニーズを開発に反映できるのは、生の声を聞ける立場だからこそ。

この開発にあたっては、全体のスケジュール管理やナリタテクノさまとの調整をはじめ、設計・試作・試験などの実作業に至るまで、すべて私が担当しました。もちろん上司のフォローがあり、困ったときには相談できる体制は整っていましたが、基本的には任せてもらえる環境でした。ひとつの開発をやり遂げてみて、改めて感じたことがあります。それは、「技術ノウハウと現場の声が両方備わってこそ、優れた製品が生まれる」ということです。

私を含め、当社の開発担当者はお客さま先に伺う機会も多く、お客さまの声を直接お聞きすることで、ニーズをしっかりとふまえた製品ができあがります。先ほども述べたように、今回はお客さまが切望される省エネ性を最優先に開発しました。本製品をお使いいただいたお客さまからは、従来より7%も省エネできたという喜びの声もお聞きしました。特許も取得した新規開発のガスノズルは、耐久性も向上したのでメンテナンスコストの低減も期待されています。

このようなお客さまの声に加え、平成26年2月、日本国内で優秀な省エネルギー機器と認められた証である「日本機械工業連合会会長賞」を受賞 ※2できたことは、大変うれしく、励みになりました。

都市ガス以外にも多様な燃料が存在する中で、当社が選ばれ続けていくためのヒントに出合えた開発になりました。この経験を、これからの新たな開発に活かしていきたいです。

※1 排気損失基準での熱効率

※2 (一社)日本機械工業連合会主催「平成25年度優秀省エネルギー機器表彰事業」で受賞

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