開発担当者インタビュー #06



省エネニーズに応える高機能な提案ツールで、エネルギー競合の時代に勝負を挑む。技術開発本部 商品開発部 開発グループ 丸山 裕

2016年の電力小売自由化、2017年のガス小売自由化により、ご家庭のお客さまも自分のライフスタイルに合ったエネルギー事業者を選択できるようになります。家庭用分野のエネルギー競合が激化するといわれている今、お客さまから選ばれ続けるためには、エネルギーのプロとして省エネや暮らしの二-ズにきめ細かく対応していくことが不可欠です。そんな背景から、当社では2014年に省エネ診断ソフト「e(い)ごこち診断」を導入。開発を担当した丸山さんに、診断ソフトへのこだわりをお聞きします。

現場の声から生まれた3つの診断メニュー。

「eごこち診断」は、タブレット端末をお客さま宅に持参して、水道光熱費のシミュレーションや省エネアドバイスを行う診断ソフトです。診断メニューを検討するにあたり、まず着目したのは現場へ赴く営業スタッフの声でした。例えば、「診断に関心を持っていただくための仕掛けがほしい」「短時間で診断できたり、その場ですぐに診断結果を提示できたりする機能がほしい」「省エネ機器を提案する際に、押し売り感がでないような配慮がほしい」など、お客さまと直接会話をする現場の声を意識しながら、お客さまの関心度や活用シーンに応じて使い分けできるように「省エネ鑑定」「ササッと診断」「じっくり診断」の3つの診断メニューを設定しました。

最も手軽な「省エネ鑑定」は、お客さまの水道光熱費を一般家庭の平均と比較する簡易的なメニュー。多くの方にとって関心の高い水道光熱費をテーマとすることで、お客さまに興味を持っていただけるようになっています。「ササっと診断」では、浴室やトイレといった空間別に、代表的な省エネ設備に取り替えた場合の水道光熱費の節約額、CO2削減量をその場でシミュレーションできます。そして、最も本格的な「じっくり診断」は、お客さま宅でリフォームに必要な現場調査を行い、ニーズに合わせた細やかな改善提案を行うメニューです。省エネ性に加えて、快適性や清掃性といった“いごこち”の評価も行うことができ、お客さまとのコミュニケーションを活性化することができます。さらに「いごこちアンケート」を実施してお客さまの潜在ニーズを収集し、ニーズに合ったリフォームプランを自動的に抽出する機能を搭載しました。

さまざまな住宅条件や省エネ機器に対応した、画期的なシステム。

東邦ガスと西部ガスさま、そしてシステムメーカーの大日本印刷さまの共同開発によって、この「eごこち診断」は誕生しました。当社と西部ガスさまが開発仕様を提示し、大日本印刷さまがタブレット端末のアプリケーションをはじめとするシステム開発を実施。ただし、中心機能の一つであるエネルギー・光熱費シミュレーションについては、当社が従来から知見を有していたこともあり、当社独自でシステム開発まで実施することとし、その業務を私が担当しました。

画面イメージ:省エネ鑑定、ササッと診断、じっくり診断

エネルギー・光熱費シミュレーションのベースとしたのは、当社で新築営業を中心に活用している計算ツールです。このツールは建物構造や世帯構成、ライフスタイル、電気・都市ガスの設備などを選択して家全体のエネルギー・光熱費を計算することができます。そこにリフォームの対象となる住宅設備や省エネ機器の性能といった要素を追加していき、お客さまごとの水道光熱費や環境性をより精緻に計算できるように改良を重ね、大日本印刷さまのシステムへ組み込めるように開発を進めました。

最も苦労したのは、多くのお客さまに対応するために、多種多様な住宅設備を反映させたことです。例えば、導入実績が多い省エネ機器である節水シャワーヘッドひとつとっても様々な性能の商品がありますし、断熱窓の場合は豊富な商品ラインナップに加え、サイズや枚数によっても導入効果が変わってきます。機器ごとの省エネ性能をつぶさに計算し、導入効果を個々に表現することはとても骨の折れる作業でした。さらに、プロパンガス、電気、灯油といった都市ガス以外のエネルギーを診断に盛り込んだり、地域や事業者によって異なる気象条件や料金体系を反映できる仕組みを構築したりと、住宅設備以外の細かな機能にもこだわりました。

開発過程においては、お客さまのニーズは強いものの、技術的な問題や開発期間、コストなどの制約で実現できないという壁にぶつかることも多々ありました。仕様面と技術開発面の板挟みになったことや、設計段階では予期しえなかった不具合に直面したことも1度ではありません。しかし、お客さまのニーズに一つでも多く応えられるように、関係者が一丸となって知恵を絞り、協議を重ねながらようやく完成させることができました。

今までにない、一歩踏み込んだリフォーム提案が可能に。

導入から約1年で、1万5千件ほど「eごこち診断」を実施※1いたしました。やはりどのご家庭も省エネへの関心が高く、「ガスや電気の使い過ぎに気づけるいい機会になった」「どうしたらもっと光熱費を節約できる?」といった反響をたくさんいただきました。こうやって興味を持っていただくだけでなく、省エネ診断をきっかけに最適なガス機器やリフォームを提案する機会が増えています。これまでの販売店の店頭やガス展などのイベント会場での提案スタイルに加え、お客さま宅で詳しい現場調査を行い、リフォームまで含めて一歩踏み込んだ具体的な提案を行うことができるからです。営業スタッフから報告を聞くたびに、「このソフトを開発した甲斐があるな」とうれしく思います。

また、当社および西部ガスさまは、環境省の推進する「家庭エコ診断制度」のうち、「独自の家庭向けエコ診断」を実施できる機関として認定されました。これにより、今後「eごこち診断」を活用する企業が同認定を新たに取得する場合、ソフトウェアの審査を簡略化できます。さまざまなガス事業者が本サービスを利用できるように、クラウド型(SaaS型)のシステム構築を採用したのはそのためです。今後、より多くのガス事業者に導入していただき、一軒でも多くのご家庭に省エネで快適な暮らしをお届けしたいと思っています。

これから訪れるエネルギー自由化の時代は、都市ガスだけに目を向けていては勝負の舞台に立てません。“今までにない提案スタイルを生み出す”という難題に挑戦し、省エネや暮らしの二-ズにきめ細かく対応するためのシステム開発をねばり強くやり遂げたことで、「東邦ガスはエネルギーのプロである」という姿勢を体現できたと思います。当社も2016年春からご家庭向けの電力事業をスタートさせます。都市ガスと合わせて電力でも当社を選択していただけるように、「eごこち診断」のさらなる機能拡充を目指していきたいです。

※1 2014年9月から2015年11月の実績。

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